障壁画プロジェクトで制作された作品が「海でつながるアートウォークで展示されました
障壁画完成披露展を開催しました
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障壁画プロジェクト
製 塩 町 広 島 県 竹 原
A R T × 地 域 活 性 化
障壁画プロジェクトとは
「障壁画プロジェクト」は、安芸の小京都 広島県竹原市のたけはら町並み保存地区において若手アーティストの方に障壁画の滞在制作を行っていただくことにより、若手アーティストの方には新作制作・発表の機会を、地域には障壁画作品を生み出し、作品の力を原動力に地域活性化や文化財の保全に貢献するものです。
障壁画の滞在制作は、2024年1月~2月に観光庁「観光再始動プロジェクト」採択事業の一環として実施されました。
また「障壁画完成披露展」は公益財団法人花王 芸術・科学財団、公益財団法人エネルギア文化・スポーツ財団の助成により2024年2月28日~3月14日に実施されました。
若手アーティストの決定について
2023年11月、「障壁画プロジェクト」に関し、 広島県竹原市で障壁画の滞在制作をして下さる3名の若手アーティストが決定し、公募により選出された3名の若手アーティストのみなさまに約1か月間にわたり竹原の自然・文化に着想を得た障壁画(襖絵・屏風絵)を滞在制作して戴きました。完成した障壁画は⽵原市「たけはら町並み保存地区」内の市重要⽂化財建築、通常⾮公開施設等の歴史的建造物において展⽰され、ノスタルジックな町並みに新たな息吹が吹き込まれました。
3名の若手アーティストが竹原での滞在制作を経てさらなる飛躍を遂げて下さることを期待しています。
障壁画プロジェクト Artists
有田大貴
(アリタ タイキ)
2011年 米国アラバマ州立ジャクソンビル大学芸術学部グラフィックデザイン学科卒業。自身のルーツである広島、海、そして音楽を主要なテーマとしながら、抽象的な絵画表現を中心に活動。近作では、地元の瀬戸内海をテーマにした絵画やインスタレーションも発表している。ドイツ、英国、岡山で滞在制作。
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大平 由香理
(オオヒラ ユカリ)
2013年 東北芸術工科大学大学院 日本画研究領域修了/学長奨励賞受賞。2016年斉藤清美術館にて公開滞在制作・同 美術館収蔵。2019年 VOCA 展 (上野の森美術館) 、2021年 第 8 回東山魁夷記念日経日本画大賞展入選。2023年 大平由香理個展「波をつなぐ」(つなぎ美術館)を開催。
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松本 和子
(マツモト カズコ)
京都市立芸術大学大学院美術研究科絵画専攻壁画修了。2015年 「2015 京展」京展賞、2018年 京都府新鋭選抜展NHK 京都放送局賞、朝日新聞社賞(2017)受賞。2020年 嚆矢祭-其之百六-松本和子展 signal(大雅堂・京都)を開催。古典技法であるフレスコ画を扱い、現代的な壁画の在り方を探る。
Official Website
審査委員 講評
近藤 健一(森美術館シニア・キュレーター)
今回、審査のために作品制作・展示が予定されている、たけはら町並み保存地区を初めて訪れた。江戸~昭和の間に建立された様々なタイプの建物による町並みの美しさに感銘を受け、滞在作家がインスピレーションを得てくれるであろうことを確信した。その一方でこの地区は「場の力」が強く、その中に展示する作品が「場の力」に圧倒されうる危惧も抱いた。そのような環境を念頭に置き審査に臨んだ。
今回初の企画にもかかわらず、すでに美術界の第一線で活躍している作家からの応募も多く、3組のみに絞る作業は容易ではなかったが、応募者の近作から屏風絵や襖絵というミディウムを活かした新作が期待できそうか、大きな作品を描く画力がありそうか、「場の力」に屈しない作風かどうか、といった点を考慮して3人を選出した。その中の一人、有田大貴氏は、喫緊の課題である環境問題への言及、竹原を含む瀬戸内海各地での制作経験、サウンドを取り入れた展示が可能であるという発展性が評価された。
鳥本 健太 (アート・プロデューサー)
審査に先駆けて、たけはら町並み保存地区を綿密に視察し、江戸時代中期の都市構造が見事に保存された当時のリアルな景観と、市民の生活と溶け込んだ落ち着いた雰囲気を体験し、この地域はアーティストの滞在制作にとって非常に刺激的で、創造的な可能性を秘めた場所であると感じました。
多数の応募作品の中から選考する作業は複雑でありながらも、各アーティストが竹原でどのような創作活動を行うかを想像することは、私にとって大変興奮を覚える体験でした。
大平由香理さんの選出は、彼女の豊富なレジデンス経験、特定の地理的景観を屏風画として表現してきた実績、そしてどのような環境にも負けない作品のスケール感という点を考慮した結果であり、彼女の作品には、地域の特性を捉え、それを独自の芸術的視点で再解釈する力があると考えました。
大平さんが竹原の文化や歴史をどのように取り入れ、彼女のアートに昇華させるか楽しみにしています。
横谷 奈歩 (アーティスト)
障壁画プロジェクトに挑戦したみなさま、おつかれさまでした。審査前に私たちも制作・展示場所となる街並み保存地区を巡り、申請資料をもとに議論を重ねました。今回のプロジェクトは「竹原の自然・歴史・文化・風土・景観などを生かした作品制作」なので、作家は滞在制作の中で場を深く読み取る力があるのか=リサーチ力の有無が選出ポイントの一つになります。選出された松本和子さんの仕事をみると、場との呼応とリサーチ力、そして最終的に作品が寄贈され、現地に残るという点においても抜群の安定感があるように感じられました。長くフレスコという技法に取り組んでこられ、一見静かな、しかし強固な表現力が、竹原の街を歩きその生活から取り込んだ全てをどのような「障壁画」に昇華されるのか、今から楽しみです。
選考外となった方々の作品からも多くの魅力を感じましたが、提出資料の作品内容にばらつきがあるのが気になりました。資料にはとにかく作品を数多く載せるのではなく、自信を持って推せる作品を、掲載する情報や言葉についても少しだけ第三者の目線を想像してみると、ぐっと伝わりやすくなるのではないかと思います。今後に期待しています。
障壁画プロジェクト 審査委員会
審査委員長
近藤 健一
(森美術館シニア・キュレーター)
1969年生まれ。ロンドン大学ゴールドスミス校美術史修士課程修了。2003年より森美術館勤務。「六本木クロッシング2010展」、「アンディ・ウォーホル展」「カタストロフと美術のちから展」「Chim↑Pom展:ハッピースプリング」、小泉明郎や山城知佳子の小個展、ビル・ヴィオラやゴードン・マッタ=クラークの映像作品上映などを企画。2014―15年には、ベルリン、ハンブルガー・バーンホフ現代美術館で客員研究員を務める。川村文化芸術振興財団ソーシャリー・エンゲイジド・アート支援助成審査員 (2019年~22年 )。
撮影:御厨慎一郎
写真提供:森美術館
審査委員
横谷 奈歩
(アーティスト)
東京芸術大学大学院美術研究科 博士課程を修了後、2009年より文化庁在外研修員として、イタリア、イギリスに滞在。 2012-2014年ブルキナファソとイタリアにて滞在制作、2013年から現在においてAIR Onomichi(アーティスト・イン・レジデンス尾道)にて招聘され制作。2017年より「芸術と考古学」他、個人の作品制作、発表と並行して国内外にてアートプロジェクトの企画制作を手がける。文化人類学者や考古学者など異分野の専門家との共同制作も積極的に行っている。
審査委員
鳥本健太
(アートプロデューサー)
2006年に中国上海にてアートマネージメント事務所office339を設立、以降上海をベースに中国、日本、およびアジア地域にて領域横断的なアートプロジェクトを企画・プロデュース。出身地である北海道新得町にて2013年より野外フェス「GANKE FES」を主催。現在、株式会社stu、PROJECT ATAMIに所属。「ATAMI ART GRANT」において2021年、2022年プログラムディレクター、2023年東アジア連携プログラムディレクター。
たけはら町並み保存地区について
安芸の小京都 製塩町竹原
本プロジェクトの実施地となる竹原は、広島県中南部の瀬戸内海に面する製塩町で「安芸の小京都」として知られています。京都の下鴨神社の荘園として誕生し、江戸時代には製塩業や酒造、廻船等で繁栄、財を成した「浜旦那(はまだんな)」らによって、町人文化も大いに醸成されました。昭和57年(1982年)に重要伝統的建造物群保存地区に選定された「たけはら町並み保存地区」では、江戸時代から明治・大正・昭和とそれぞれの時代の建築物の歴史的変遷を見ることができます。瀟洒かつ重厚な町並景観を構成する家々の格子や壁、欄干などに凝らされた様々なデザインは統一感を持った美しさを作り出しています。町並みには本町通りを中心に、大小路、板屋小路、中ノ小路など多くの路地があり、往時の生活が感じられます。
竹原の自然と文化
竹原の食文化を代表する酒と塩は、同地の自然によって育まれてきました。現在でも竹原では、流下式製塩法で滋味あふれるミネラル豊富な和塩が作られています。また竹原には、藤井酒造株式会社、竹鶴酒造株式会社、中尾醸造株式会社の3つの蔵元があり、広島の日本酒を特徴づける「軟水醸造法」による酒造りが行われています。
いまに息づく竹原の町並み・建築・食文化
竹原町並み保存地区には、地区内の古民家や蔵をリノベーションした店舗が数々あり、古くから残された建築文化への敬意が感じられます。またこうした店舗で提供されているお料理は、地域の食材を活用し、歴史や文化を反映させる工夫がなされています。 NIPPONIA HOTEL竹原製塩町、市内の料理店では、伝統的な竹原のおもてなし料理「魚飯(ぎょはん、文化庁100年フード)」が供されています。
竹原を舞台とした映像作品
竹原の自然とまちなみは映像作品の中にも残されています。竹原を舞台とした作品には、大林宣彦監督の映画「時をかける少女(1983年)」、アニメ「たまゆら(2010年)」、NHK連続テレビ小説「マッサン(2014年~2015年)」、映画「吟ずる者たち(2021年)」「るろうに剣心最終章The Final(2021年)」等があります。
主催・企画・運営
一般社団法人瀬戸内海エコツーリズム協議会
(障壁画プロジェクト事務局)
連携先
竹原市
藤井酒造株式会社
陶工房風土
NIPPONIA HOTEL竹原製塩町
福山ツーリスト株式会社
協賛
金沢屋竹原店
後援
竹原市観光協会
一般社団法人瀬戸内海エコツーリズム協議会
〒734-0013 広島県広島市南区出島1-11-14
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